カエルの子はカエル🐸 5
母は弟を抱っこしながら、ぶつぶつ言いながら近くの公園のベンチに腰をかけました。わたしも隣に座り
「お母さん帰ろよ」
と母にボソッと言いました。母は黙っています。
「‥‥行こうか‥」
母がそう言って弟を抱っこしたまま立ち上がりました。わたしは帰りたくなかったけど、自分がいる場所が家しかなかったので母の後ろをついていきました‥
それから全ての記憶はないのですが、衝撃的な記憶はわたしが友達の家に泊まりに行った時です。
ある日教室をでる時に、先生から呼び出され
封筒を渡されたました。
「これをお家の人に渡してね」
封筒を受け取り、学校から出ると
友達から明日学校が休みだから
家に泊まりに来ないかと誘われました。学校帰りだったので戸惑いましたが
「うちの家から電話すれば言いよ」と言われ
そのまま友達の家へと向かいました。わたしはその子の家から電話して一晩泊まる事を母に告げました。家に電話をすると母が出て
いいよと言ってくれました。
わたしはとてもルンルンで一泊の宿泊を楽しみました。
楽しかった一泊が終わり、友達の家でお腹いっぱい朝食を食べさせてもらい
ランドセルを背負って朝、家へ帰りました。
玄関を開けると姉が
「あんた‼︎なんで帰ってこなかったの‼︎」
わたしは怒られるとは全く思ってなかったので、びっくりしました。
家へ上がると弟が母に抱えられ台所でゲーゲー吐いていました。
「‼︎‼︎」
わたしは何がなんだかわからず立っていると、姉から学校からもらった封筒を出せと言われ
慌ててランドセルから封筒を出し、姉に渡しました。
封筒の中身はお金だと知らされまたまたびっくりです。
わたしが先生からもらった封筒はお金で、わたしが家へ帰らなかったから
食べるものがなく、弟は空腹で吐いているのだと伝えられました。弟が吐いている姿はわたしにとって衝撃的な光景でした。
多分学校から家に
お金を持たせましたと連絡があったのでしょう‥母は友達を優先してくれたのだと思います。
すぐに姉が
「買い物に行くよ‼︎」と言い
わたしも一緒に連れていかされました。その時は、わたしだけお腹いっぱいで他のみんなは
空腹でたまらなかったと思います‥
カエルの子はカエル🐸 4
カエルの子はカエル🐸 3
突然の父の登場に、顔が引きつりました。
父と母が何か話しをしていましたが、わたしは父と会話はしませんでした。
F県の小学校へ通うようになったわたしは、とりあえずは普通に学校へ通いました。家にいてもご飯もろくに食べさせてもらえず、学校の方が給食があるから
少しはお腹が満たされたので‥
当時、朝ご飯や夜ご飯を家で食べた記憶がわたしの中にはあまりありません。今現在わたしが存在してるので、何かは食べていたんだと思います。お風呂も入っていたのかもわかりません。兄、姉達が学校へ通っていたのかも記憶にありません。
新しい小学校生活に慣れてきた頃、学校帰りに友達の家に招待されました。
わたしは
すぐに行く‼︎
と返事をしました。
友達の家へ行くと、優しそうな母親がジュースやおやつをテーブルに並べてくれて
「食べてね」
と言い残し静かに襖をしめました。家ではでないジュースやお菓子に唾を飲み込んだわたしの記憶が鮮明に残っています。
美味しいおやつにひと時の幸福感。充実していると、ある空間を指差して友達がわたしに言いました。
「なぁなぁ
これ何かわかる?」
「わからない」
「サウナやでー」
「サウナって何?」
「汗かくみたいなお風呂」
「へぇー
入りたいなー」
「ダメダメ‼︎お父さんに叱られるー‼︎
だって10万すんでー‼︎」
わたしは10万の額が分からず
「へぇー」
と返しました。当時の10万はかなりの額だったと思います。友達は貧乏なわたしにただ自慢したかっただけなんです。今思えば‥‥
その友達の父親がヤクザだと後で知り、わたしもヤクザくらいはわかる年齢だったので
喋る回数を減らして、気がつけばその子は学校へ来なくなりました。貧乏人はお金持ちからしてみれば、お金がありますアピールをしたいんですね。
カエルの子はカエル🐸 2
夜行列車の中では、家族みんな無言だったのを覚えています。兄16歳、姉14歳‥今思い出すと年頃の子どもだったので状況が理解できていたのでしょう。深夜の夜行列車の中での出来事は覚えていません‥
目が醒めると朝でF県に着いていました。わたし達家族は夜行列車から
知らない土地へと降りました。そこから記憶がないのですが、気がつけば新しい家の前です。2階建ての建物で
玄関を開けると、目の前は2階へ上がる階段。右手には古い台所。左手はインベーダーゲームやテトリスをするような
ゲーム機が沢山ありました。
閉店したゲームセンターだったのでしょう。
母にゲームをしていいか?
と尋ねると
ダメだ
と言われ、2階へと上がりました。
2階の部屋は2部屋あり、1部屋はテレビもこたつもありました。もう1部屋は結構広く、布団が沢山重ねられており
10人くらい寝れるような広さだったのを覚えています。
わたしは
ワクワクしました。
‥しかし、部屋を眺めていると
嫌いな父の登場でした‥
カエルの子はカエル🐸
突然ですが、わたしは貧乏です。親ももちろん貧乏です‥
やっぱり
カエルの子はカエルですね🐸
自分の家が貧乏だと気づいたのは、小学校6年生です。ある日突然引越しを親から言われ、夜行列車でとある県に行く事を告げられました。
「え!急すぎる!タンスは?机は?」
母に尋ねると
「後から送るから」
と言われ
その時は夜逃げだと気付かずに、普通に近所の友達に
「引っ越すからねー
バイバーイ!」
なんて言って心はどこかウキウキでした。
夕方、母と兄、姉、弟、わたしで駅へと徒歩で向かいました。駅に着くと知らないスーツをきた中年の男性がわたし達の前に現れ、母に
「これが切符です」
と渡していたのを覚えています。
ふっと父がいない事に気付いたわたし。でも、父は嫌いだったので母には何も言いませんでした。
初めて乗る夜行列車のベットの上で
友達の親からもらったおやつをむしゃむしゃ食べながら
学校休めて最高!
そんな事を1人で思いながら、電車から夜景を見ていたのを覚えています。
続きはまた
後ほど‥